ご挨拶

2023年1月26日をもちまして、一般社団法人「日本感染管理ベストプラクティス研究会」(以後本研究会)が発足しましたことをお知らせいたします。

本研究会は、定款にもありますように「医療施設・介護施設・在宅等における医療関連感染を最小限にし、経済的負担を最小限にするための実践的な改善プログラムの開発研究と教育普及を図ることを目的とし、その成果を医療・介護従事者等に還元し、現場の改善を支援し、ひいては国民の健康と安全に寄与すること」を目的として設立されました。

さて、本研究会発足まで経緯についてお話ししたいと思います。その歴史は20年と長く、脈々と「ベスプラ」(ベストプラクティスの略)の精神は受け継がれ今日に至っております。その前身は2003年9月近畿で開催されたSOPプロジェクトに始まります。理事の土井英史先生と吉田理香先生をはじめとするグループで始まりました。2005年12月に「近畿感染管理ベストプラクティス研究会」が発足し、一方で当時東北大学教授の賀来満夫先生を中心とする東北感染制御ネットワーク研究会にもその手法が取り入れられ、2006年1月には東北感染制御ネットワークベストプラクティス部会が発足しました。その後、この考え方と手法を取り入れた活動が花王プロフェッショナル・サービス株式会社の支援のもとに全国でベストプラクティスのワーキングが開催されるようになり、「ベスプラ」という名称は広まってゆきました。

2014年に各地でおこなわれているベスプラの活動を統合し、「日本感染管理ベストプラクティス“Saizen”研究会」として全国的な組織に発展するまでになりました。これまでベスプラのワーキングに参加した施設はのべ約7000施設、参加者数はのべ17000人、さらに毎年開催するセミナーにはのべ約15000人が参加されています。
このように日本全国でベスプラの活動は継続され、2020年からは感染管理ベストプラクティスの手法をより進歩発展させるために、また、より現場に定着させ改善につなげるためには、地域・施設の状況、目的にあわせて多様な方法で取り組みができるような仕組みが求められました。特に、全国各地で活躍する感染予防対策に携わる看護師や医師などの多職種による活動が盛んとなるなかで、ワーキングは研究会主催の開催から、基本的に世話人、アドバイザー、地域のネットワーク、行政等、開催を希望される方が、主体的に企画開催していただき、研究会は活動を支援できるようにより使いやすく開かれたプラットフォームを構築することで進化し、発展と普及および定着を目指すこととなりました。

この20年間で、ベスプラ作成のためのコンテンツの充実と、web配信など情報通信技術の発達は、ベスプラの開催形式をも大きく変化させ、これらの利用可能なリソースが充実したことを機に法人化することで、柔軟かつ幅広い活動を可能にしました。 この20年でSARS、新型インフルエンザ、MERS、そして現在も続いているCOVID-19などの新興感染症あるいは、東日本大震災や熊本地震などの自然災害を経験し、この間日本全国で活躍している医療や介護に係わる人々によって多くの人々が救われたのではないかと思っております。そして、今後も感染予防対策の重要性とその普及の必要性を感じており、本研究会が少しでもそれに貢献できるよう努力してゆく所存です。 新たな体制での本研究会は、従来の研究会と活動内容は大きく変わりませんので、引き続き皆様のご指導ご鞭撻ならびにご支援を賜りたく、改めてここにお願い申し上げます。

一般社団法人 日本感染管理ベストプラクティス研究会 代表理事 藤田直久 

令和5年1月吉日